本エントリは大都会岡山アドベントカレンダー8日目です。
昨日のエントリは@mirai_iroさんの『岡山勉強会コミュニティの、みんなと、いっしょに!』でした。私も岡山で色んな勉強会に携わらせていただいているので、こういう声を聴かせていただけると、本当にうれしいです。
さて。実はこのblogは基本的に技術ネタに縛ってる感じなので、どうしようかな…と思ったのですが、このアドベントカレンダーはノンジャンルですし、せっかくなので地元にある全国的にもちょっと珍しいレジャーについて書いてみようと思います。
夏の風物詩、四手網
私の住んでいる岡山市南部、児島湾沿岸の地元民の間では、『四手網(四つ手網、よつであみ)』と呼ばれるレジャーが存在します。
どんなものか言葉でざっくり説明すると…。
『四手小屋(よつでごや)』などと呼ばれる小屋に行き、網を使ってとった魚介類を自分で持ち込んだ食材(バーベキューとかが多いです)やお酒をワイワイ楽しむ遊びです。基本的には日が暮れてから行います。
この時に使う小屋に設置されている網が大型の『四手網(四つ手網・よつであみ)』と呼ばれるものである為、地元では通称『よつで』といいます。
…言葉で説明してもなかなかわかりにくいですね(^^; 次の写真を見てください。
これが『四手小屋』です。児島湾沿いの堤防から海に向けてせり出す形で設置されています。実際、小屋の先端は完全に海の上になっていますので、特に夜に小屋の中から外を見ると、完全に海の上に居る感覚になります。
これが、四手網です。網の一遍は大体4mくらい?でしょうか。これを夜の海に沈め、頂点のところについた電燈で魚をおびき寄せます。
網を沈め、バーベキューしたりお酒を飲んだリしつつ、頃合いを見計らって網を上げ、捕れた海の幸を肴にまた一杯。…というのがこの遊びの一般的な流れになります。
網なので色々なものが掛りますが、一番のターゲットはこのあたりでベイカと(ベカとも)呼ばれる、小型のイカです。5cm〜10cm位の小型のイカです。このベイカを生きたまま三杯酢に漬け、三杯酢を程よく吸ったところで取り出してそのまま食べる、というのが四手の醍醐味とも言えます。
(参考:こちらのblogにベイカの写真がありました)
他にも季節によってハゼやアイナメ、太刀魚なんかが掛かったこともありますし、ワタリガニなんかが入ってくることもあります。フグや小型のエイなんていうのもかかってきたりします。
一年通して小屋自体は貸してくれますが、大抵はベイカの取れる5月下旬〜秋口くらいまでがシーズンです。夏の夜には立ち並ぶ小屋のそれぞれから明かりと笑い声が聞こえてくる、このあたりの夏の風物詩ともいえる光景が見られます*1。
で、なんでシーズンのオフのこの時期にこんなことを書いているかというと…
はい、お察しの方もおられるかと思いますが、実は昨日、シーズンオフのこの寒い時期に、行ってきました、四つ手。…身内に酔狂な奴らが居りまして…。
なので、少しだけ、どんな雰囲気なのか紹介してみたいと思います。
四つ手小屋には簡素なものから色々とオーナーの趣味で装備が整っているものまで色々あるのですが、必ずあるも、それは四手網にアクセスるための窓です。
窓の外に、海に沈めた四つ手網(の竿)と、てっぺんについた電球の明かりがぼんやりと見えてます。左手前の柱についているスイッチで、網を上げ下げします。
では、この四手網で救い上げた獲物をどうやって手元まで持ってくるかというと…この長い長い竿の網になります。
全体が写っていませんが、この竿も4m位あります。こいつを先ほどの窓から伸ばし、ちょっとしたコツを効かせながら掬い取っていきます。
で、試しにあげてみたのですが…。
さすがにこの時期、ろくなものが取れるとは思っていませんでしたが、やっぱりたいしてとれず…。
ということで、メインはバーベキューコンロでの焼肉とビールとなりました(^^*2;
ちなみに、瀬戸内の書きどころいうと広島が全国的に有名ですが、岡山も備前・日生あたりが牡蠣どころとして有名なんです。今日も日生の牡蠣を仕入れてきて焼きました。美味し。
さらに、瀬戸内産のサザエも仕入れてきていたので、網の上で壺焼き。こちらも美味でした!
日本酒を少し垂らされ、沸き立つサザエたち!
そういえば、微妙にイリコが取れたので小屋主のおばちゃんに食べ方を教えてもらって…(というかワタの取り方を教わって)、そのまま適当に網焼きにしてみましたが、これはこれでうまかったです。こういうのも四つ手の醍醐味だったりします。
そんなこんなで更けていく、四つ手小屋の夜…。
まとめ
実はこの四つ手後は新岡山港〜吉井川河口付近までかなりの数があったのですが、10年近く前にきた大きな台風で壊れたり、護岸整備事業の影響で撤去されたり、また近年の不漁傾向もあってか現在ではかなり数を減らしています。
(数年前の大きな台風で倒壊したまま海岸に残る、四つ手小屋の台座の後)
もし、ご興味があれば是非、一度体験してみてください。小屋の借り方は至って昭和、基本的に『小屋に書いてある電話番号(たいていは経営されてる個人のお宅)に電話して直接交渉して予約』です。なので、初めてだとちょっとハードルが高いかもしれませんが、ぜひ、勇気を出してチャレンジしてみてください。地元の漁協(九番漁業協同組合)に電話してみても、小屋の電話番号などを案内してくれると思います*3。
…といったところで、今日のエントリを終わりたいと思います。
明日の大都会岡山 Advent Calendar 2012は、hiroshi hashimoさんです。よろしくお願いします。