Windows 11 で初期セットアップ時にローカルアカウントを作成する方法がどんどん潰されて行っているのが話題ですが、それはWindows 11 『Homeエディション』 の話です。
Professional の他Enterprise等の家庭以外の場所で使うことを考慮されているエディションでは、依然としてGUIからローカルアカウントの作成が可能 となっています。
ただしそのために必要な操作が(人によるかもしれませんが)直感的とは言いにくいとも思えたので、検証を兼ねて少しまとめてみました。 試したバージョンは現時点で最新の25H2ですが、記憶にある限り以前のバージョンでも同じはずです。
ローカルアカウントでセットアップする手順
実際に、セットアップを進めながら設定のポイントを紹介します。 重ねて言いますが、この手順が行えるのはHome以外のエディション*1です。
なお、エディションによっては以下の手順のうち、表示されない画面があります。具体的には、「このデバイスをどのように設定しますか」の画面です。この画面はProfessinalでは表示されますが、一般家庭での使用を想定していないEducationやEnterpriseでは表示されません。
1.まずは画面の指示に従って「このデバイスをどのように設定しますか」の画面までセットアップを進める
※EducationやEnterpriseの場合は「このデバイスをどのように設定しますか」の画面は表示されません(「3」まで進んでください)
2.「このデバイスをどのように設定しますか」で 「職場または学校用に設定する」を選択(※Professinalの場合)
※EducationやEnterpriseの場合はこの画面は無し(「3」まで進んでください)

3.「職場または学校向けに設定しましょう」の画面で「サインイン オプション」を選択
「サインイン オプション」が選択できます*2ので、これを選択します。

4.「代わりにドメインに参加する」を選択
一見、これを選択するとドメイン参加を強要されそうですが実はそうではありません。スタンドアロンのローカルアカウントを作成したい場合もこちらを選択する必要があります*3。

5.ローカルアカウントとして使用したいユーザー名(アカウント)を入力
ローカルアカウントのユーザー名を入力します。

6.パスワードや秘密の質問を設定
以降は画面の指示に従い、パスワードや秘密の質問を設定していきます。
この手順でセットアップを終えると、ローカルアカウントでセットアップが完了します。

MSアカウントやEntraIDとの紐づけやAD参加などが必要な場合は、この後に行うことになります。
検証に利用した環境
今回の検証に利用した環境を記載しておきます。
インストール先
Hyper-V上に新規に作成した仮想マシンに実際にインストールして確認しました。
使用メディア
マイクロソフトの公式サイトからダウンロードしたISO形式のインストールメディアを使用ました。
以下のサイトの x64 デバイス用 Windows 11 ディスク イメージ (ISO) をダウンロードする から Windows 11 (x64デバイス用のマルチエディション ISO) を選択してダウンロードを実行して、Windows 11 (25H2) 64bit 日本語版 マルチエディション*4のISO Win11_25H2_Japanese_x64.iso を入手しました。
エディション
今回は、以下の3つのエディションを試してみました。
- Professional
- Education
- Enterprise
上記のインストールに必要なプロダクトキーは、私が契約しているVisual Studio Subscriptionの特典として提供されているものを利用しました。
まとめ
今年になってセットアップした複数のメーカー/機種のProfessinalプリインストールのマシンでも前述の手順でローカルアカウント作成ができましたので、恐らくは異なる媒体やインストール方法であっても上記エディションであれば問題なくローカルアカウントを設定できると思います。
あと……。
あくまで個人的には…ですが、個人利用の場合にMSアカウントの利用自体を避ける必要性は特には感じていません。 また特に業務用途で利用するPCでローカルアカウント運用を行いたいのであればProfessional を買うことをお勧めしたいです。
とはいえ、用途的にHomeで十分な場合でも
というようなことは、私自身も直近で遭遇はしています。 また前述の通り『業務利用の場合はProfessinalを使用すればよい』とも思っていますが、『要件にピッタリ合うPCがHomeプリインストールのものしかなく、一旦Homeでセットアップ完了後にProfessinalにアップグレードするという手順を踏まざるを得なかった』という事例にも当たったことがあります。
マイクロソフトさんが個人ユーザーにMSアカウントの利用を推進したい理由はある程度想像もつきますし*7その方針自体には特に異を唱えるものではないです。が、それでもオフライン環境でセットアップを一旦完了したい*8という場面は、未だにあると思っています。
なので、GUIを消したとしても知識がある人向けの方法は今後も残してくれると嬉しいな、とは思ったりはします……*9。
*1:ただし教育向け低価格PC用の”SE”は試したことが無いのでわかりません……
*2:はるか以前には…Windows 10より前だったかもしれないけど…Homeにもこれがあったような記憶がそこはかとなくあります。ありましたよね?
*3:ここがわかりにくいとは思う
*4:入力されるプロダクトキーによってインストールされるエディションが決定される
*5:これはそのうち可能になりそうな発表はありましたね
*6:セットアップ依頼されて訪問したらネットワーク不調だったとか、デスクトップPCでWiFi内蔵されてないのでネットワーク繋がらないとか、特定のソフトのインストールや設定を行った上でネットワークに接続したい等、稀に良くあるんです……
*7:私個人の単なる想像でしかないですが、海賊版とか不正利用とか、ライセンス関係の不正利用を抑制したいという思いもあるんじゃないかなと思ったりしています
*8:一旦オフライン&ローカルアカウントで設定した上で、Windowsにログオンしてから改めてネットワークの設定やオンラインアカウントの紐づけを行うという流れ
*9:とはいえもし本当に不正利用低減が目的に含まれているのであればそういう抜け道自体を残すのがNGだろうし、発表によれば雲行きは怪しそうですが…