このエントリは大都会岡山 Advent Calendar 2013の2日目のエントリです。 昨日は@mako_wisさんの岡山県立大学できた謎の建造物 - makoラボでした。 さすがは県立大学です。謎いです。
ビールネタを求められた気がしましたが、今年は岡山の地ビールはあまり飲んでない気もしますので、ガン無視していきたいと思います。
『うったて』is not 標準語
Twitterなんかで定期的に話題になるのでご存知の方も多いかと思いますが、それでもこれを岡山県民にお話しすると「え、ホントに??」という反応が面白いようにかえってくる言葉、それが『うったて』です。
ご存知ですか、「うったて」ということば。
私の身の回りでは、これへの反応はほぼ、真っ二つ。おそらく、これを読んでいる方で、この話題を所見の方も同じだと思います。
- 岡山ネイティブ(と香川の一部?)
- は?嘘じゃろ?
- またまた。冗談を。
- え??じゃあこれ、標準語ではどういうの??
- 非岡山ネイティブ
- なにそれ?どういう意味??
- しらない。聞いたことがない。
何といえばよいのか、岡山県民ならわかると思うのですが、これが標準語では無いのは"他の岡山弁に対して「それ標準語じゃないよ」といわれる"のとは違う、なにか別格の違和感と驚愕を覚えるのではないでしょうか。
これの事実を私は初めて知ったのは大学時代、岡山を出て大阪に行っていたときです。が、その時もにわかには信じられず、大阪の友人たちになんかかつがれてるのではないか、とすら思いました。
それくらい、「うったて」が標準語ではないと初めて知った時の岡山県民の衝撃はすさまじいのです。
『うったて』is 何?
では、「うったて」とは何か。
最近ではちょくちょく話題になっているようで、ググると結構出てくるようになりました(これも、5年前くらいだとググってもほとんど出てこなかった)。いつのまにかwikipediaにも乗っているようです。
「うったて」。言葉で書くと多少難しいですが、その意味を端的にいうとこんな感じ。
毛筆で字を書く際の、それぞれの画を書く際の、最初に筆を紙に着けてグッと力を入れるところ
…言葉にするとちょっと解りにくいですね。ちょっと実際に書いてみました。 (といっても硯とか筆とか手元に無いので、 The Shodoで書いたものをキャプチャしました。下手なのはご愛嬌。)
例えば、ここが「うったて」です。この筆を最初に下ろして、グッと力強く、場合によっては気持ち一呼吸おくような部分。
楷書体のフォントでも割と特徴的にはっきりと解るように書かれてたりしますよね(「AR P楷書体M」の「白」の例)。
逆に、例えばこんなのを書くと、「"うったて"をもっとはっきりと書きなさい」とか書道の先生に指導されるわけです*1。
私も記憶が定かでは無いですが、小学校の書道の時間でほぼ確実にそう習ってるはずなので(私の周りでのヒアリング結果でもほぼ100%)、学校由来なのかもしれません。
由来はなんなのか
この言葉の由来は何なのでしょうか。『日本国語大辞典』には正に『うったて(打立・討立)』としてエントリがあるそうす。意味は『戦に出向くこと。出陣。』と『(方言として)最初。手始め。』だとか。
岡山でも「何事もうったてが肝心」「物事はうったてが大事」など、『始めの一歩を大事すべき』という意味で慣用句的に使われます。 * 例:何事もうったてが肝心じゃけぇ、しっかり気合入れてやらんとおえんでぇ。 * 訳:何事も最初の第一歩が肝心なので、しっかり気合をれないとだめだよ。
私は長い間、これが書道に輸入されたのかな……等と勝手に思っていました。
が、最近また調べていいて、ノートルダム清心女子大学の先生がこれについて考察されているエッセイを見つけました。この先生の考察では、書道用語としての「うったて」はまた別のところからきたのでは、とされています。 ご興味があるかたは、ぜひ、ご一読されてみると面白いと思います。 日本語日本文学科 リレーエッセイ 【第27回】ウッタテ考
まとめ(?)
ということで、久しぶりの非技術エントリは岡山ローカルの言葉「うったて」についてでした。この年になっても年に幾つかはこうした文化の違いに気が付くことがあります。こんな狭い日本なのに面白いですよね。
さて、明日はC#のアドベントカレンダー…。ネタ考えないと(
*1:もちろん字と画によってはハッキリ書くべきでないものあるわけですが